コンサート批評 (2024)

  Yuko HISAMOTO  Concert

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ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会Vol.2
(2024.9.7 サントリーホールブルーローズ)

ショパン 2024年11月号
各楽章の性格を
鮮やかに描き分けたベートーヴェン

9月7日(土) サントリーホール ブルーローズ
取材・文/野崎正俊(音楽評論家)

久元祐子は東京藝術大学で松浦豊明に師事している。余談ながらはるか昔のことだが、松浦といえば、その卓抜な技巧を駆使した華麗なチャイコフスキーのピアノ協奏曲に興奮させられたのは、当時まだ若かった評者の脳裏に強く焼き付いている。もちろん弟子のすべてが師と同じ道をたどる筈もなく、久元はその後内外における研鑽や演奏の体験を重ねるうちに、今ではモーツァルトやベートーヴェンなどの古典的な作品の正統的な再現に傾倒しているにとどまらず、ピリオド楽器の演奏にも通じているらしい。
今回のリサイタルはベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏の第2回で、曲目はソナタ第10番ト長調、第3番ハ長調、第13番変ホ長調、第14番嬰ハ短調「月光」の4曲である。そして演奏にはベートーヴェン作曲当時に製作された1795年のアントン・ヴァルター製フォルテピアノの復元楽器が用いられ、楽器の音響特性を考慮してか、ステージと客席の椅子は通常とは異なる位置に配列されていた。
演奏された前半の2曲は作曲順とは異なるが、第10番は主題を的確に歌わせるなどして、各楽章の性格を鮮やかに描き分け、第3楽章のロンド形式のスケルツォの面白さを実感させてくれる。後半の作品27の2曲の“幻想的ソナタ”もことさら思い入れのない率直さが好ましい。アンコールで弾かれた演奏では、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の冒頭の前奏曲が、チェンバロとも異なる効果が面白かった。

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