ピアノフォルテの誕生 

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ピアノフォルテの誕生

ピアノフォルテは、爪が弦をはじいて音を出すチェンバロと異なり、ハンマーが弦を打って音を出す楽器です。
このピアノフォルテは、フィレンツェのメディチ家に仕える楽器制作者、バルロメオ・クリストフォリ(Bartolomeo Cristofori 1655-1731) によって発明されました。
クリストーフォリが制作したチェンバロ、スピネット、クラヴィコードは何台か残されています。クリストーフォリはたいへん研究熱心な鍵盤楽器制作家だったようで、さまざまな試行錯誤を繰り返しているうちに、ピアノフォルテの制作に行き着いたものと思われます。
クリストフォリが初めてピアノフォルテを制作したのは1709年と書かれていることが多いようですが、1700年前後には既に完成を見ていたことがわかってきています。
クリストーフォリのこの発明を世間に紹介したのは、マッフェイという人物で、彼は論文の中で、クリストーフォリが発明した楽器のことを、Gravicembalo col piano e forte(弱音及び強音のグラヴィチェンバロ)と呼んでいます。
今日クリストフォリが制作した楽器は、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ローマの楽器博物館、ライプツィヒの楽器博物館に一台ずつ、計3台が残されています。

スクエア・ピアノの普及

2000年3月、東京・神楽坂の音楽の友ホールで、クリストフォリの楽器の複製によるリサイタルが開かれました。使用された楽器は、1726年に制作され、ライプツィヒ大学所蔵の楽器を忠実に複製したものです。

この楽器を制作されたのは、オーストリア国立ウィーン芸術史博物館で長年にわたり楽器の修復に当たってこられた山本宣夫さんです。(上は、山本さんとその楽器)
古楽器奏者の筒井一貴さんによる演奏は素晴らしいものでした。低音を含め音は豊かに響き、貧弱でか細い音がする楽器なのだろうというイメージはすぐに払拭されました。
ご覧のとおり一見チェンバロに似ていますが、弦は太く、ケースも丈夫にできています。
クリストフォリの楽器は、現代のピアノの基本的なメカニズムを備えていた、画期的な発明だったようです。とくに、モーツァルトの時代になってもあまり採用されていなかった「エスケープメント機構」をはじめから備えていたことには驚かされます。この機構のおかげで、速いパッセージ、同音反復が可能になりました。

クリストフォリによるピアノフォルテの制作は、このように画期的なものだったにもかかわらず、イタリアではまもなく忘れ去られ、残された資料をもとに、本格的にピアノフォルテの制作をしたのは、ドイツの制作者たちでした。

クラヴィコード 1