ピアノフォルテは、爪が弦をはじいて音を出すチェンバロと異なり、ハンマーが弦を打って音を出す楽器です。
このピアノフォルテは、フィレンツェのメディチ家に仕える楽器制作者、バルロメオ・クリストフォリ(Bartolomeo Cristofori 1655-1731) によって発明されました。
クリストーフォリが制作したチェンバロ、スピネット、クラヴィコードは何台か残されています。クリストーフォリはたいへん研究熱心な鍵盤楽器制作家だったようで、さまざまな試行錯誤を繰り返しているうちに、ピアノフォルテの制作に行き着いたものと思われます。
クリストフォリが初めてピアノフォルテを制作したのは1709年と書かれていることが多いようですが、1700年前後には既に完成を見ていたことがわかってきています。
クリストーフォリのこの発明を世間に紹介したのは、マッフェイという人物で、彼は論文の中で、クリストーフォリが発明した楽器のことを、Gravicembalo col piano e forte(弱音及び強音のグラヴィチェンバロ)と呼んでいます。
今日クリストフォリが制作した楽器は、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ローマの楽器博物館、ライプツィヒの楽器博物館に一台ずつ、計3台が残されています。