小型のチェンバロの多くのものは、ヴァージナルと呼ばれます。
ヴァージナル(Virginal)はもともと英語で、17世紀前半のイギリスで使われた小型のチェンバロを指していましたが、今日では、イギリス以外の地域でつくられた小型のチェンバロを広く指す言葉として使われています。
形の上では、多角形のものと箱形のものとに分けられます。
16世紀のイタリアでは、グランド型のチェンバロのほか、たくさんのヴァージナルがつくられ、ヨーロッパ各地に輸出されました。
イタリアでつくられたヴァージナルは、多角形をしたものが多く、上の写真は、16世紀のイタリアンチェンバロをもとにして、鍵盤楽器制作家の山野辺暁彦さんが制作された楽器です。
17世紀になると、フランドルのアントワープがイタリアの有力な競争相手として登場し、やがて凌駕していくのですが、リュッカース兄弟などによってつくられたヴァージナルは、箱形をしたものが多いようです。
上右の写真は、やはり山野辺暁彦さんが制作されたこのタイプの楽器です。
上のフェルメールの絵に描かれた楽器とタイプが似ていることがわかります。