久元祐子 記事

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<今月のプレトーク>歴史的楽器に触れるとモダンでの演奏が豊かになります 久元祐子
(ムジカノーヴァ 12月号)
 幅広いレパートリーを持っているが、その一方で歴史的ピアノを使ったこだわりの演奏活動も展開している久元祐子さん。新しい録音は、ヴァルターのフォルテピアノ(1784年制作の楽器のレプリカ)でモーツァルトとハイドンのソナタを組み合わせて演奏したもの。
 「ウィーンに移り住んだモーツァルトは、ヴァルターの楽器を使っていたことがわかっています。その時期に書かれた作品は、その楽器の能力を最大限に生かすように作曲していることが、実際にこの楽器を弾いてみるとよくわかります。モダン・ピアノのように大ホールに響きわたるような音量は出ませんが、特に弱音での繊細な表現は歴史的楽器のほうが豊かです。モーツァルト演奏については気品、歌心や軽やかさを表現することも自然にできるんです。モダン・ピアノだとかなり抑制し注意深いコントロールが必要なのですが、歴史的楽器だと思う存分に弾いても過剰になりません」
 モーツァルトは演奏も研究もライフワークのひとつとなった。レクチャー・コンサートのシリーズも好評だ。今回のアルバムは、6枚となる予定のモーツァルト・シリーズの第2弾でもある。
 「モーツァルトの魅力をより際立たせるために、他の作曲家の作品と組み合わせて演奏することは多いんですよ。今回ハイドンを取り上げたのは、没後200年に当たり、特に鍵盤作品にも名作が多いにもかかわらず、モーツァルトほど注目されていないということもあります。ハイドンはモーツァルトが尊敬した同時代の先輩。交互に弾くことで相違点が明確になると思うのです。ハイドンは弾いていて楽しい。つまり、純粋に鍵盤楽器のための作品を書いたわけです。一方のモーツァルトはオペラや歌曲、オーケストラの音楽を想起させます。鍵盤作品でありながら、それを超えた表現を目指したんですね」
 歴史的ピアノに興味を持っだのは10年ほど前。
 「クラヴィコードに出合ったのがきっかけです。初めて触ったとき、その音色と弾いた感触にすぐに魅せられました。その後、さまざまな歴史的楽器と出合い、ますます好きになり、演奏会でも弾かせていただく機会が増えていきました」
 重厚長大へと進んだピアノの歴史の中で失ってしまった大切なものに、光を当てる作業だ。
 「楽器と対決するのではなく、対話するような気持ちで演奏できる。聴き手が耳をそばだてないと届かないような、繊細な音の中にある豊かさが魅力。そのピアニシモの美しい世界を知ると、モダン・ピアノでのピアニシモの演奏にも幅が出てくるようです。楽器から教わることが多いんです」
 次の録音も企画中だ。
 「モーツァルト・シリーズの第3弾は構想中です。最近、また歴史的なピアノに出合って、新しい企画も頭の中にわいてきました。でも次は、できればショパンを、その時代のプレイエルで弾きたいと思っています」

名器が奏でる 友好の調べ 美子皇后献上ピアノ 日本上陸
(東京新聞 09年7月8日)
 オーストリアのピアノの名器、「ベーゼンドルファー・インペリアル」の特注品「エンペラー」が日本に上陸、東京・中野のショールームで展示、公開されている。明治天皇の美子皇后に献上されたピアノの復刻版で、ウィーンの香り漂う華麗な造りとなっている。ベーゼンドルファー・ジャパンは「見るだけでなく試弾もどぅぞ」と”歴史遺産”との触れ合いを勧めている。 (村串栄一)
 同社は創業百七十五年を記念して二〇〇三年、エンペラーを製作。製作費は販売価格一台二千万円以上するインペリアルをはるかにしのぐという。ピアノは米ラスベガスの同社特約店に陳列されていたが、日本とオーストリアの修好通商航海条約百四十周年に当たる今春、特約店の協力で日本に搬送、展示を実現させた。
 同社はウィーン郊外に工房を構え、リストやブラームスらが愛用する名器を生み出してきた。オーストリア・ハンガリー皇帝は、一八六九(明治二)年、日本との条約締結に際し、美子皇后にグランドピアノを献上、これがエンペラーだった。記録には「澳太利琴 一面」と残っている。
 同社は残存していた図面を基に一年余をかけて復刻器を製作。サイズは最長部分二メートル九○、音域は低音部の鍵盤が一般より九つ多く八オクターブ。随所に金箔をちりぱめヽ鍵盤両端の腕木にはバロックアートの彫刻を添えて、重厚、きらびやかなデザインを復元した。
 ショールームでピアニストの久元祐子さんが奏でてくれた。J・シュトラウスなどの曲だ。 
 「エンペラーを弾くのは今回が初めて。包み込まれるような温かさがありますね。木が生きているというか、響きがじかに伝わってくる感じです。さすがウィーンの名器です」
 今年五月から開催されたウィーン少年合唱団の日本公演でも演奏された。ピアノは来春まで日本に滞在するという。同社・ジャパンの内山武彦社長は「イベントで不在があるかもしれませんが、展示中はいつでもお弾きいただけます」と話す。ちなみに日本では販売対象外とのこと。
 展示場所は東京都中野区本町一の三二の二、ハーモニータワー一階。問い合わせは「ベーゼンドルファー・ジャパン」電話03・6681・5189。
東京新聞 097.8 記事」(pdfファイル)
  
モーツァルト時代の音「再現」 レプリカ使いきょう演奏会
( 読売新聞 09年5月30日)
 「モーツァルトが活躍した時代のピアノのレプリカを使用したコンサートが30日午後3時から、セレモアコンサートホール武蔵野(立川市柏町1)で開かれる。同ホールが企画した。
 レプリカは1956年、モーツァルト生誕200年を記念し、米・メトロポリタン美術館が、ピアノ製作家アントン・ヴァルターのピアノを材質などにこだわりながら復元したもの。現代のピアノは通常、88鍵あるのに対し、61鍵しかなく、小ぶりな作りとなっている。
 ピアノを弾く久元祐子さんは「小さくても力強い響きがある」と魅力を語る。
 曲目はモーツァルト「ピアノ・ソナタ ハ長調K279など。会費2500円(お茶、お菓子付き)。未就学児は入場できない。」
読売新聞 09.5.30 記事」(pdfファイル)
  
ピアノ名器を修繕 駅前市民会館のベーゼンドルファー
長野日報 09年3月6日)
諏訪駅前市民会館 (長野県諏訪市)のベーゼンドルファーが、修繕が行われることになり、3月6日付の 長野日報に 報道されました。
諏訪市の新年度予算案に、220万円が計上され、弦を張り替え、ハンマーフェルトが取り替えられます。
私は、2月28日に、「ステージ聴くベーゼンドルファー」のコンサートで弾かせていただいたばかりで、とても喜んでおります。
この記事には、当日のステージも、写真で紹介されています。

長野日報「ピアノ名器を修繕」(pdfファイル)
  
茅野で21日  諏訪響がコンサート ピアニスト久元さんと協演
信濃毎日新聞 09年3月11日)
「信毎販売センターの茅野、下諏訪、原村営業所は21日、「信毎春休みファミリー諏訪響コンサート」を茅野市民館で開く。国内最古のアマチュアオーケストラ諏訪交響楽団とピアニストの久元祐子さん=東京都新宿区=の協演もあり、諏訪市駅前市民会館でこのほど練習があった。
久元さんと協演するのはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」。音大生が主人公のマンガを原作にしたテレビドラマ「のだめカンタービレ」で演奏シーンがあるなど「誰にでも楽しんでもらえる曲を選んだ」(諏訪響)とする。全3楽章で、演奏時間は35分ほど。このほど行われた練習では、団員約50人と久元さんが、曲の流れやバイオリンなどの音の大きさを確認しながら合わせた。
コンサートでは、このほか、諏訪響がチャイコフスキーの「スラブ行進曲」とベートーベンの「交響曲第7番イ長調」を演奏。久元さんによる弦、管楽器の説明や交響曲の解説もあり、諏訪響事務局長の丸茂洋一さん=茅野市玉川=は「クラシック音楽やオーケストラを身近に感じてもらえるとうれしい」と来場を呼び掛けている。
午後2時開演。入場料は1階席が1000円。2階席が500円。問い合わせは信毎販売センター茅野営業所(57−7502)へ。」
  
ベーゼンドルファーの響き堪能  諏訪で久元さんコンサート
長野日報 09年3月1日)
諏訪市音楽協会(榛葉和子会長)は2月28日、同市駅前市民会館が常設するベーゼンドルファー社製グランド
ピアノの響きを目の前で聴くコンサート 「ステージで聴くベーゼンドルファー」 を同会館で開いた。」国立音大講師でベーゼンドルファー弾きとして定評があるピアニスト久元祐子さんがショパンやモーツァルト、リストなどの名曲を演奏。約百人の来場者がステージ上で鑑賞した。
同会館のグランドピアノは欧州を代表するピアノメーカーのベーゼンドルファー社製で、1987年に同市出身の実業家の兄弟から寄贈された。.榛葉会長は「ベーゼンドルファー社のピアノの中でも最盛期に作られた大変にいいピアノで、木そのものの響きを大切に作られています。今回はステージで間近に聴いていただき、良さを知っていただこうと考えた」と趣旨を話した。
久元さんは「ステージで聴いていただくのは初めてですが、きょうはふたも外して演奏するので、生の音を楽しんでほしい」と話すと、同社製ピアノの持ち味を堪能できる名曲を次々と演奏した。
曲の合間には名器といわれる同社のピアノの特徴も解説。 「このピアノは軟らかい木を使って作られています」と述ベ、ホール全体に溶け込むようなしなやかな和音が響く秘密を説明していた。.(倉田高志)
  

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