久元祐子 記事

2007

  
掲 載 年
 2010年
 2009年
 2008年
 2007年
 2006年
 2005年
 2004年
 mostlyclassic
 2003年
 2002年
 2000年
 1999年
 1998年
 1997年
 1996年

2007年

モーツァルトのソナタ集を発売 河北新報 07年8月25日

青春のモーツァルト ピアニストの久元 祐子がモーツァルト若き日のソナタを選んだ「青春のモーツァルト」(コジマ録音、2625円)=写真=をリリース、定評ある理知的な解釈に立った詩情豊かな演奏を聴かせる。
 収録されたピアノソナタはニ長調KV311とハ長調同309.華やぐ「神童時代」と悲劇的な「晩年」の間の「青春」こそが魅力、と言う久元らしい選曲。これに大バッハの息子でモーツァルトに影響を与えたとされるヨハン・クリスティアンバッハのソナタを加えた全4曲の構成。
 ショパンやベートーベンなどのCDはあったが、モーツァルトのソナタは初めて。この作曲家に関する著作もある久元は、「モーツァルトの楽譜はかなり演奏者に委ねられており、”一期一会”のつもりで弾いてきた」と話している。

観客に花束を贈るコンサート 秋田さきがけ 07年8月20日号
 
コンサート終了後、演奏者に花束を贈る姿をよく見かける。しかし先日、それとは逆に演奏者から観客へ花を贈るという光景を目にし、新鮮な気分を味わった。県内のモーツァルト愛好家サークル「モォツァルト広場」が主催したザマーコンサートでの出来事だ。
 「モォツァルト広場」の会員は約百三十人。会員番号は「K301」「K478」といったモーツァルトのの作品番号だ。この日は、演奏が一曲終わるたぴに、ピアニストの久元祐子さんら出演者から、演奏した曲の作品番号を持つ会員に花が手渡された。
 加藤明代表は「演奏者と聴く側が良い曲をともにした喜びを分かち合い、モーツァルトをさらに好きになってもらいたいという願いを込めている」と説朋する。会発足当時からの習慣だが、誰の発案だったかは忘れてしまったという。
 アンコールでは、会を立ち上げたときからの中心メンバーで、昨年暮れに亡くなっった柏木勇夫さんをしのび、柏木さんの会員番号でもあるK596「春へのあこがれ」を全員で合唱。その後、柏木さんの妻みきさんへ花束が贈られた。会の演奏会に初めて訪れたというみきさんは「夫がこの会に情熱を注いでいたことは分かっていたが、こんなに素晴らしい演奏会だとは知らなかった」としみじみと話していた。
 会員それぞれが心からモーツァルトを楽しんでいる様子に、ほのぼのとした気分にさせられた。
 (文化部・鎌田一也)


Pianist Analyse  ピアニスト・アナリーゼ ムジカノーヴァ 07年7月号
久元 祐子さん 心の会話

久元祐子さんは、幼いころ、とても内気だったという。
「お星様や雲などを、何時間でもぽーっと見ているような子どもでした。例えぱ、雲は刻一刻と姿を変えていくけれど、二度と同じ形にはならない。子どもなりに、人の力が及ばない自然の神秘を感じ取っていたのかもしれません。」
読書にも、親が禁止するほど没頭した。そこで思い付いたのが、深夜、布団にもぐって懐中電灯で読むという秘策。心の中に蓄積されていくさまざまな思い・・・。それらを表現する手段のひとつが、ピアノだった。音を通じて、心の殻も徐々に取れていったという。
「100本以上もの映画を薦めてくれた友人、これまで知らなかった音色への扉を開いてくれた古楽器制作者や修復家の方たち。人との出会いによっても、世界が広がっていきましたね」
話を聞いていると、心の交流に重きを置いた彼女の生き方が見えてくる。
小学生のときは、リレーで県大会2位になつたり、中学ではアナウンス部で賞を取ったり。音楽以外にもさまざまことに心を奪われ、のめり込んだ経験を持つ久元さん。彼女の好奇心は、留まることを知らない。
目下彼女は、1843年製のプレイエルと1868年製のエラールのピアノにはまっている。
「ショパンを弾いているとき、例えば現代の楽器では思い通りに出せなかった憂いが、当時のプレイエルだと、楽器自体から自ずと湊み出てくる。名器がたくさんのことを教えてくれます」
新たな出会いがもたらすワクワク感…。楽器との対話は、作曲家の心との会話でもあると、彼女は語る。
「生まれ変わったら冒険家になって、今は演奏会があるからできない危険なことにも、どんどん挑戦したいです」穏やかな口調のままこんな勇ましい言葉も飛び出した。

写真=岡本 央  文=本誌 岡地 まゆみ
取材協力 セレモアコンサートホール武蔵野

ムジカノーヴァ(2007年7月号)pdfファイル



心を奏でるピアノ ムジカノーヴァ 07年1−3月号
Air France の機内誌 Bon Vayage で取り上げていただきました。

Bon Vayage 2007年1−3月号(pdfファイル)



記事 2006 へ