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書評 『モーツァルト殺人法廷』 ルドルフ・アンガーミュラー著  評:久元祐子
1940年、ドイツ生まれ。音楽学者。国際モーツァルティウム財団事務局長などを歴任
北海道新聞 2010年1月31日)

 モーツァルトを殺したのは誰か ― 仮想法廷が開かれ、身近にいた15人の裁判が行われる。むろん「真犯人」が明らかにされるわけではなく、全員に無罪が言い渡される。
 本書で明らかにされるのは、天才をめぐる多彩な人間模様である。モーツァルトの評伝については星の数ほどの本が書かれてきたが、本書は、モーツァルトに敵対し、また手を組み、あるいは愛憎に満ちた関係にあった人たちの目を通して、天才の実像を新たな観点から浮き彫りにすることに成功している。たとえば、モーツァルトの雇い主であったザルツブルクのコロレド大司教は、天才をいじめ、追い出した悪代官として評判が悪いが、仮想法廷での彼の「証言」からは、天才のわがままぶりも垣間見える。また、妻コンスタンツェ、かつての恋人でコンスタンツェの姉アロイジア、その夫で有名なモーツァルトの肖像画を描いたランゲなどが登場し、どろどろした、それでいてどこかコミカルな愛憎劇がくり広げられるが、このあたりは、モーツァルトのオペラの舞台そのもののようだ。宮廷楽長サリエリやダ・ポンテ、シカネーダーによって、オペラ上演をめぐる陰謀、劇場をめぐる人間模様も語られる。証言の中では好色で狡猾な劇場監督も登場し、スキャンダルめいてくるのだが、決してじめじめしておらず、どこか憎めない。
 そして、15人の登場人物の国籍、出自、キャラクターの多彩なこと。この時代、作曲家、歌い手、台本作家、俳優たちは、ヨーロッパのあちこちを渡り歩き、友情を育み、あるいは互いに利用し、騙し合いながら、したたかに生きた。まもなく革命と戦乱によって滅び去る爛熟の小宇宙を、モーツァルトは、いわくありげな人たちと渡り合いながら、ものすごいスピードで駆け抜けていったのだった。
 久保田慶一、小沢優子訳。 (春秋社 2625円)


北海道新聞 10.1.31 記事(pdfファイル)

名器で奏でるショパン   諏訪市音楽協会 ベーゼンドルファー演奏会
長野日報 2010年2月15日)

 諏訪市音楽協会(榛葉和子会長)は14日、市が所有するベーゼンドルファー社(オーストリア)製高級ピアノの修繕を記念した「バレンタインコンサート ― ショパン生誕2OO年記念に寄せて」(長野日報社など後援)を市駅前市民会館で開いた。国立音楽大学講師のピアニスト久元祐子さんがショパンの名曲を演奏。 約100人の来場者はピアノを取り囲むように、ステージ上で鑑賞した。
 ピアノは1987年に同市四賀出身の企業家から寄贈された「インペリアル」と呼ばれる最上位機種。音のひずみなどが指摘されたことから、昨年4月に修繕された。久元さん出演の同様のコンサートは昨年2月にも開いており、今回、修繕後の音色を楽しんでもらおうと企画した。
 久元さんは、生誕200年記念に合わせてノクターン 「遺作」、ポロネーズ「英雄」などショパンの名曲の数々を披露した。演奏の合間には名器といわれる同社のピアノの特徴を紹介。「木にゆっくりと響かせる、じわっと温かい音色がコンセプトの楽器。きょうはふた(反響板)を外して、弦の音だけで皆さんに演奏を届けたい」と話した。
 ピアノをぐるっと囲んだ来場者は、ステージに響く音色に間近で聞き入り、久元さんの解説でショパンの生涯や創作の足跡にも理解を深めていた。(宮沢知史)

ステージで聴くピアノの調べ   諏訪でコンサート
信濃毎日新聞 2010年2月16日)

 諏訪市音楽協会は14日、JR上諏訪駅前の市駅前市民会館で、オーストリア・ベーゼンドルファー社製のグランドピアノを使ったコンサート 「ステージで聴くベーゼンドルファー」を開いた=写真。
 ピアニスト久元祐子さん(東京)が出演し、客席はステージ上にピアノを囲んで100席を用意。聴衆は間近で奏でられる音に目を閉じて聞き入ったり、軽快に動く指先を見つめたりしながら思い思いに楽しんだ。
 ピアノは昨年春に修理された。久元さんは、今年がショパン生誕200年に当たるのを記念し、ショパン作曲のエチュード「革命」やノクターン 「遺作」など計16曲を披露。下諏訪町から訪れた主婦(66)は「間近で聴く久元さんの演奏も、ピアノの音色も本当に素晴らしかった」と話していた。

信濃毎日新聞 10.2.16 記事(pdfファイル)

ベーゼンドルファー優雅に演奏  久元祐子さん迎えコンサート
諏訪市民新聞 2010年2月16日(火))

 諏訪市駅前市民会館のベーゼンドルファーピアノの音色を楽しむコンサートが14日、同会館ホールであり、国立音楽大学講師でピアニストの久元祐子さんが奏でるショパンの音色に聴き入った=写真。
 ベーゼンドルファー(オーストリア)のピアノは、スタインウェイ、ペヒシュタインとならんで世界三大ピアノといわれる逸品。諏訪市音楽協会(榛葉和子会長)の要望を受けて昨年4月に市がオーバーホール。前回同様、二回目のコンサートもベーゼンドルファー弾きで知られる久元さんが演奏。市音楽協会主催、諏訪市民新聞社などが後援した。
 百人の聴衆全員がステージ上で、ピアノを囲んで聴くサロン的雰囲気のステージ演奏会。ピアノの詩人と呼ばれるショパンの、生誕(2月22日)200記念に寄せたバレンタインコンサートとして、ノクターン「遺作」、ポロネーズ「英雄」、エチュード「別れの曲」など、ショパンで全16曲を演奏した。聴衆は、繊細で優雅な曲に目をつぶって聴き入り、合間に行われたベーゼンドルファーやショパンへの思いなどの楽しい噺にも耳を傾けた。
春休みコンサート 茅野で500人楽しむ  中学生指揮の初企画も
信濃毎日新聞 2010年3月22日(月))

 信毎販売センターの茅野、下諏訪、原村営業所は21日、「第4回信毎春休みファミリー諏訪響コンサート」を茅野市民館で開いた。地元の諏訪交響楽団と、都内のピアニスト久元祐子さんが協演。茅野市永明中学校と岡谷市岡谷北部中の生徒4人が指揮者として登場する初企画もあり、約500人が訪れた会場から太きな拍手が起きた。
 諏訪響が奏でる荘厳なワグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲で幕開け。久元さんとの協演ではモーツァルトのピアノ協奏曲第21番を華麗に表現し、「ブラポー」と歓声が沸いた。
 中学生の男女は1人ずつ、諏訪響が演奏するビゼーの「『アルルの女』第組曲より『ファランドール』を指揮。それぞれ「でっかい舞台で指揮できて楽しかった」などと壇上で感想を語った。下諏訪町の主婦(38)は「中学生の指揮はとってもかわいらしくてよかった。諏訪響もどんどん質が上がっていますね」と話していた。

信毎春休み諏訪響コンサート新聞 2010年3月21日(PDFファイル)
「ものすごいエネルギー」 ピアニストの久元祐子さんも大感激。
市民新聞グループ 2010年5月

 全国各地でユンサート活動をするピアニスト、久元祐子さん(東京都新宿区)=右から二人目=は初めで御柱祭を見物に訪れた。「エネルギーがすごい」と驚いた表情だった。二〇〇七年から毎年コンサートで共演し、親交を深める諏訪響の丸茂洋一理事長、写真家の林壽彦さんから誘われ、五日(水)県内で開くコンサートを前に諏訪に立ち寄った。はっぴに身を包み、桟敷席から丸茂さんらと一緒に本宮の柱の曳行を観覧。「大感激。リフレッシュして元気をもらった。ピアノの演奏に生かしたい」と話していた。

市民新聞グループ 2010年5月(PDFファイル)
「ショパン時代の音が、そこに残っている」  インタビュー久元祐子(ピアノ)
ぶらあぼ 2010年8月号)

  「軽井沢八月祭」は避暑地でのひとときを、クラシック音楽三味で過ごす贅沢な企画。2日間の公演があるが、8/25は「ショパンが愛した音楽、ショパンを愛した人々」をテーマとするコンサート、朝10時30分から夜8時30分まで、途中に1時間ずつ(昼は2時間)の休憩をはさみながら開かれる、1回1時間 、ほどの5回の演奏が楽しめる。ピアノの野平一郎、東誠三に加え、ヴァイオリンの戸田弥生、チェロの菊地知也、ソプラノの天羽明恵も参加して、ショパンのピアノ作品以外も取り込んだプログラムなのが嬉しい。注目は久元祐子による、ショパン時代に製作(1840年)されたプレイエル社のピアノを使用したリサイタルだ。
 「会場の軽井沢大賀ホールは、木を贅沢に使った響の美しいホールですね。演奏するのは初めてです。歴史的楽器のプレイエルにも合うことでしょう。パワーや安定性といった面では、モダン・ピアノに軍配があがりますが、香り立つような繊細な味わいや魅力的な音色があります。楽譜にあるペダルの指示も、ショパンはプレイエル社のピアノをもとに書き込んでいるように、楽器と作品が密接に結びついている。彼が愛した楽器なんですね。ショパンがパリのサロンで弾いた時の音が、この楽器の中に残っているのです」
 久元はモーツァルト研究でも知られる人で、その著作も多い。また、クラヴィコードから始まって、ショパン時代のプレイエル社のピアノ(今回使用するのは別の楽器)、創設当時のベーゼンドルファー社のピアノ、リスト時代のエラール社のピアノなども所有。モーツァルト時代のフォルテピアノをはじめ、それらの歴史的楽器での演奏会や録音にも力を入れている。
 「でも自分はあくまでもモダン・ピアノの奏者です。さまざま活動の中から得た表現方法を、モダン・ピアノでの演奏で生かしたいと思っています。それにしても、世紀を超えて生き残ってきたオリジナル楽器は、人を惹きつける魅力を持っています。今回のプレイエルはナトリピアノ社さんが所蔵する楽器で、私もよくコンサートで弾かせていただいていますが、どこか懐かしい感じのする魅力的なピアノです。美しい軽井沢の自然の中で、ショパンの響きを楽しんでいただければと思います」
 プレイエルで弾く今回のプログラムは、ショパンの作品だけでなく、彼のノクターンに影響を与えたと言われるフィールドの作品も取り入れた。また、他の企画ではモダン・ピアノで登場。ピアノ伴奏による、ショパンのピアノ協奏曲も披露。
 「名手との共演は、最高に幸せな瞬間です。かけあいをしたり、とけあったり、というアンサンブルの醍醐味です。この「軽井沢八月祭」は、私も心から楽しみにしているんです」
                                                取材・文:堀江昭朗

ぶらおぼ 2010年5月(PDFファイル)
22日に「モーツァルトの夕べ」 大関国立音大教授ら出演
秋田さきがけ 2010年7月14日)

  県内外のモーツァルト愛好者でつくる 「モオツァルト広場」 (加藤明代表)主催の第14回サマーコンサート「モーツァルト ヴァイオリンソナタの夕べ」が22日、秋田市中通のイヤタカ・ハーモニーホールで開かれる。
 今回はパイオリンに大関博明、ピアノに久元祐子を迎える。大関は国立音大を卒業後、オランダやドイツの管弦楽団を経て、1979年から8年間、群馬交響楽団でコンサートマスターを務めた。海外アーティストとの共演など積極的な奏活動を続けている。国立音大教授。         
 久元は東京芸大大学院を修了。熱心なモーツァルト研究家として知られ、リサイタル活動のほかモーツァルトに関するCDや著書を多く出している。
 演演奏曲目は「バイオリン・ソナタ ハ長調」「幻想曲ニ短調」ほか。入場料 一般3500円。高校生以下千円。チケットなど問い合わせはモオツァルト広場・加藤 090・7939 ・4058     (佐藤勝)

秋田さきがけ 2010年7月14日(PDFファイル)

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