Yuko HISAMOTO

          久元 祐子 著 書
  • 作曲家が愛したピアノからアプローチする演奏法「ベートーヴェン」:学研プラス
  • 名器から生まれた名曲B リストとベーゼンドルファー・ピアノ
  • 名器から生まれた名曲Aショパンとプレイエル・ピアノ
  • 名器から生まれた名曲@モーツァルトとヴァルター・ピアノ
  • 「原典版」で弾きたい! モーツァルトのピアノ・ソナタ
  • 作曲家ダイジェスト ショパン
  • モーツァルトのピアノ音楽研究
  • 作曲家別演奏法U モーツァルト
  • 作曲者別ピアノ演奏法
  • モーツァルトー18世紀ミュージシャンの青春
  • モーツァルトはどう弾いたか
  • モーツァルトのクラヴィーア音楽探訪
 

作曲家別演奏法U モーツァルト  (株)ショパン


まえがき ― モーツァルトを弾く悦び
第1章 弾き始める前に
第2章 作品の全体イメージをつかむ T
第3章 形式感を体得する
第4章 ピアノ・ソナタ ハ長調 KV545 を題材として
第5章 青春の旅から生まれたピアノ・ソナタ  

(コラム)
  「モーツァルトの残り香」 「トラットナー夫人」
  「誇張された晩年の貧困」 「暗譜のときの、要注意」
  「モーツァルトは変人だったか?」 「マンハイム楽派」
  「アポジャトゥーラ」
  
  (株)ショパン
  定価 1300円(本体)
  (2008年9月刊行)

 本書は、「作曲家別ピアノ演奏法 ― シューベルト・メンデルスゾーン・シューマン・ショパン ― 」(2005年刊)の、「モーツァルト版」です。モーツァルトをモーツァルトらしく弾くためのアプローチを試みています。
 モーツァルトを美しく、モーツァルトらしく弾くためには、ただ、やみくもにスコアに書いてあるとおりに指を動かすだけでは充分ではありません。モーツァルトが生きた時代は、今から200年以上も昔です。モーツァルトの時代の楽器、演奏慣行について、最小限の知識を持つことが求められます。モーツァルトは膨大な数の手紙を残しており、モーツァルト自身の言葉も、モーツァルトの音楽の理想像に近づく有力な手がかりとなるでしょう。
 そして、モーツァルトの美学を感じとれるようになることが大切です。優れたピアニストであったモーツァルトのピアノ曲には、モーツァルトの音楽の美学が凝縮されています。その美学を体現し、表現するには、できるだけたくさんのジャンルの名曲を聴き、モーツァルトの美学を感じとれるようになることが望ましいと思います。同時に、それぞれのピアノ曲を弾くときに、そのような美学がどのように明示的に、あるいは黙示的に表現されているかに気づくことが不可欠です。
 もちろん、スコアの解釈には無限の可能性があります。それぞれの作品を弾いてきた先人の思索にも依拠しながら、自分なりの作品イメージを形づくっていくことが求められると思います。本書は、そのような作品像への問いかけについての私なりの試みです。また違うイメージがありうることはいうまでもありません。
 本書を手にされる方は、モーツァルトの作品をピアノで美しく弾きたいと願っておられるみなさんだと思います。モーツァルトを弾けるようになることは、人生の中に大きな悦びを与えてくれることでしょう。モーツァルトの音楽は、ほかの作曲家にはない魅力を持っています。モーツァルトを聴くことは素晴らしいひとときですが、モーツァルトを弾くことは、単にモーツァルトを聴く以上の悦びを与えてくれます。モーツァルトを弾くことはなんと素晴らしいことでしょう。
 本書では、これまでピアノを弾き、またさまざまな世代の方にレッスンを行ってきた経験の中から、私なりに大切だと思うことを記してみました。単なる指の練習に飽き足らない学習者の方、生徒さんにモーツァルトを弾く悦びを伝えたいと模索しておられるレスナーのみなさんにお読みいただければ光栄です。
 本書の一部は、(社)全日本ピアノ指導者協会機関誌『Our Music』に連載された「作曲家研究」がベースになっていますが、本書の執筆に当たって全面的に書き改めるとともに、大幅に加筆することにしました。 

(本書は、メール アイコン までご連絡いただければお送りさせていただきます。送料は200円です。)