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作曲家ダイジェスト ショパン Gakken
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はじめに
作曲家を知る
作曲家ショパンとロマン派
幼少期のショパン
ショパンが学んだ教師たち
祖国ポーランドとショパンの旅
ショパンの友人たち ほか
名曲案内
<幻想ポロネーズ><小犬のワルツ>
<マズルカ イ短調 作品67の4>
<ノクターン 変ホ長調 作品9の2>
<ノクターン 嬰ヘ長調 作品15の2>
<ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8>
<ノクターン 嬰ハ短調 遺作>
<革命のエチュード> ほか
久元祐子・堀内みさ・山本一太 著
Gakken
定価 1500円(本体)
(2010年2月刊行) |
本書は、学研さんからのお誘いにより、執筆させていただきました。
堀内みささん、山本一太さんとの共著です。
本書は、作曲家ショパンの人生をいくつかのキーワードから紹介する「作曲家を知る」と、数ある作品のなかから選んだ30曲を解説する「名曲案内」から構成されています。
私は、「名曲案内」の方を執筆させていただきましたが、あらためてこの本を紐解き、ほかの執筆者の方が書かれたところを読み、なるほど!と思う箇所がたくさんありました。
たとえば、堀内みささんが書かれた「ショパンの性格」です。
一部を引用させていただきます。堀内さんは、ショパンは、「自分の心を容易に見せない性質」だったと書いておられますが、私も、ショパンの作品を弾いていて、まったくそのように感じます。モーツァルトの方が、むしろ、そのときどきの感情、体調、気分などが作品に投影されているように感じます。
「砂糖をまぶした牡蠣」。ショパンをそう形容したのは、リストの愛人マリー・ダグー伯爵夫人です。一見とっつきやすいのに、本心はなかなかわからない。そんな意昧でしょうか。一方リストは、「ショパンは足をかければすべってしまうガラスのように近寄りがたかった」。そういっています。さらに、ショパンの手紙には内面を読みとれるものはごくわずかしかありません。サンド宛ての手紙でさえ、あくまで礼儀正しく、距離を置く感じで書かれています。どうやらショパンは、自分の心を容易に人に見せない性質だったのでしょう。と同時に、幼い頃から皮肉や批評を含んだものまねや漫画が得意だったことから、鋭い観察眼と、対象を的確に分析する能力が人一倍あったことがうかがえます。おそらく、ショパンはワルシャワ時代から貴族や上流階級が集う社交界に出入りするうちに、人々の言葉や態度の裏にある、さまざまな思惑や駆け引き、加えて軽薄さなどを冷静に見抜き、さらに、表面は愛想良く振る舞っていても、一線を置く術を身につけたのでしょう。そんなショパンが、パリでサロンの寵児となるのです。」(本書 70頁より)
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