自然が先生

国立音大「テーマ別演習」では2回にわたり、ガムラン奏者の増野亜子先生との共同授業。ガムラン体験では、生まれて初めてという学生達とともに、楽器に触れ、自らの手で音を止める奏法を教えていただきました。2回目は、ガムランの歴史、地方によって異なる特徴について、とても興味深い内容のお話を伺いました。

バリのガムランとジャワのガムランでは、全く響きが異なり、あらためて驚いた次第です。その違いは、それぞれの地域の美学、気質から来るものだそうです。それに伴い、奏法もリズムも使う楽器も変わってくるのが面白い。撥が柔らかければ当然柔らかくゆったりとした音楽に向き、カンカンとした硬質の撥で叩けばリズミカルで勢いのある音楽になります。

映像も紹介いただいたのですが、ジョン・ケージをはじめ、ガムランを自らの音楽に取り込む作曲家達、その音楽に取り組む若者達の姿も印象的でした。自然の中で、楽譜を用いず、耳伝えで奏でていく奏者たち。互いの音を聞き、リズムを感じ、一つになっていく。。。西洋音楽を学ぶ私達にとって、新鮮で魅力的な世界でした。

授業が終わって素敵な増野先生とお喋り。なんと増野先生のご主人が私の遠い親戚にあたることがわかり、奇遇にびっくり!私が子供の頃、ピアノの先生をしている祖母の妹の発表会に出演し、しっかり一緒に記念撮影に収まっている懐かしい写真も見せていただきました。

授業とレッスンの後、長野県に移動。週末は蓼科マスター・クラス。受講のみなさんはポストホルンで宿泊、お食事、練習、智源山房でレッスン、公開演奏という2泊3日のスケジュール。爽やかな緑の季節、非日常の中に身を置くことで普段見えなかったものが見えたり、楽友の演奏に耳を傾けたり、アンサンブルを組んだりする中で聴こえてくる新鮮なハーモニーがあったり・・・。

ベートーヴェン、リスト、ショパン、ラヴェルなど、個性も様式も異なるピアノ曲に向かう中で、確実に、音楽が熟していくのがわかりました。
帰途に着いた受講生の方から「先生、今年も実りの多い3日間、ありがとうございました!」とメールを頂き、嬉しいことでしたが、先生は、私ではなく、作曲家が残してくれた音楽であり、気持ちを原点に戻してくれる自然!という気がしました。

再会の日まで、互いに磨いていきましょう!

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