モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会(最終回)@サントリーホール(ブルーローズ)

11月23日モーツァルトのピアノ・ソナタ全曲演奏会の最終回を終えることができました。雨の中ご来場くださいました皆様、お励ましくださった皆様に心から感謝申し上げます。
 

今回はモーツァルトが最も輝いた時期の作品を取り上げました。《フィガロの結婚》と同時期に作ったロンド ニ長調KV485で始め、対照的なイ短調のロンドKV511を続けて弾き、宮廷付作曲家になった直後の野心作KV533/494までが前半。休憩後は洗練の極み、愛奏されるソナタKV545で始め、最後はハ短調のドラマティックな世界、KV475、457を続けて演奏しました。

18曲残されたモーツァルトのソナタ。19歳にミュンヘンで作曲した若きエネルギー溢れるKV279~KV284、マンハイムで作曲した青春の輝きKV309,311、失意のどん底パリで作ったKV310。そしてウィーンに独り立ちして円熟の極みを辿る後半9曲のソナタ。全曲弾いてきた中でモーツァルトの人生と作曲家としての比類の無さ、多彩な魅力をあらためて感じました。と同時に奏者のすべてを鏡のように映し出してしまう音楽であることも身をもって体験した次第です。

11月上旬にコロナ濃厚接触者になり「陽性になるのは時間の問題」と言われ、大学も出講停止・自宅待機の3日間。リサイタル中止?!の事態も一瞬頭をよぎりましたが、けっきょく奇跡的に罹患せず乗り切りることができほっとしています。

ピアノは、愛器ベーゼンドルファーmodel.280VCピラミッド・マホガニー。
 撮影:武藤章さん

高貴で豊かな響きの名器に助けられた2時間でした。
無駄の無いプロフェッショナルの技により、翌日の搬入も無事完了!

静かに「ブナfromウィーン」に御礼参り。

大木のエネルギーを体内にチャージしてから、次の演奏会の準備に入りました。

満員のお客様と共有したモーツァルト時間。ライヴCDが来春リリース予定です。

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