ブロードウッド

1820年製のブロードウッド。ベートーヴェンが最後の3つのソナタを作曲したとき使用したピアノと同型のピアノです。ロンドンの博物館から日本に到着して約3年。いよいよ修復が完成したとのお知らせをいただき、坂戸にある太田垣さんの工房に行ってきました。ベートーヴェンを弾き、タッチの感触、音色などタイムスリップのひととき。これからベートーヴェンの様々な企画を共にする予定の「相棒」と対面しました。

本来ハンマーヘッドには革が巻かれていた時代の楽器ですが、以前の修復の際、フェルトが貼られてしまっていました。今回の修復では、それを革に戻す作業も行われました。指先から鍵盤を通じて弦に力を伝えるハンマーの先が革かフエルトか、というのは弾く本人にとって大きな違いです。打楽器奏者がたくさんのバチが入ったケースを見せてくださったことがありますが、どのバチで叩くかで音色は全く変わってくるのと同様です。

革のハンマーヘッドで鳴らす小気味よさに快感を覚えながら、そして様々な表現の要求に応えてくれる敏感さと力強さに感服しながら、工房をあとにしました。
工房近くには自然が残っていて、森林や田園風景を楽しみました。隣の畑にはたくさんのネギが植えられており、大きな柿の木が秋には豊かな実りを見せてくれるそうです。道を少し走らせるとなんと、ダチョウを飼っておられる農家が!
こんなに近くでダチョウを見たのは生まれて初めてかもしれません。蹴っ飛ばされたら痛いだろう・・・と恐る恐る近づいたのですが、フレンドリーな様子。五月とは思えない38度の暑さの中、ダチョウの卵でできた濃厚な「ダチョウアイス」も頂戴した次第です。

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