エンペラー

数年前、ウィーンのアウガルテンの工場を見学しようと朝出かけましたとき、敷地に着いたとたん、大きな扉が開きました。
まるで「さあ、日本の皆様、ようこそ」とその扉が誘ってくれるような感じで開いたものですから、思わず入ってしまったのですが、なんとその日は、工場はお休み。
なぜ開いたのかいまだにわからないのですが・・・。

そしてそこに向かう途中の道にあったのが、ウィーン少年合唱団の宿舎兼練習場でした。どこからともなく聞こえてくる天使の歌声?!
しかもCDで聞いたり、コンサートで耳にするのと違って、ときどき止めてアンサンブルの特訓を受けたりしている天使たちなのです。

おそらく公開されることがない練習風景に思いがけず遭遇。
なんだかとても得した気分で、印象的な朝になりました。
さぼっているのか、降り番なのか、外でサッカーをしている少年がにっこり、手を振ってくれました。

そのウィーン少年合唱団の来日にあわせて来日した楽器がウィーンが誇るピアノ、ベーゼンドルファー。
しかもスペシャルモデルの「エンペラー」です。
インペリアルは、有名ですが、エンペラーというモデル、実は、私も知りませんでした。

日本オーストリア修交140周年に合わせてのコンサートということでエンペラーが全国ツアーにお供することになったそうです。1
869年9月に長崎入りした「ドナウ号」と「フリードリヒ大公号」。
修交通商条約締結が締結され、親善の贈り物として明治天皇に献上された高価な品々。
その中で、美子皇后に贈られたピアノ、ベーゼンドルファーの復刻版です。
見事な装飾と重厚な気品を持っていまです。
新聞社からのの取材を受け、演奏や撮影など1時間ほどエンペラーと過ごしました。

当時オーストリアの使節団が弾いたとうヨハン・シュトラウスの作品などを弾きましたが、音はインペリアルより軽めでやわらかい感じ。
今は、アメリカの特約店の所有で、来年2月まで日本に滞在とか。
日本の湿気に負けず、元気な滞在を続けてほしいと思っています。

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