ウィーン・シェーンブルン『こうもり』

BUNKAMURAで、ヨハン・シュトラウスのオペレッタ「こうもり」。
ウィーンの宮殿劇場と化したオーチャードホールでした。

フォルカー・フォーゲル演出、ロベルト・ツェルツァー指揮のウィーン・シェーンブルン宮殿劇場管弦楽団。

オルロフスキー侯爵に、カウンターテナーのヨッヘン・コヴァルスキーが熱演。カウンターテナーが演じることにより、浮き世離れした非現実感が、舞台に奥行きを与えてくれました。

ペーター・エーデルマン(アイゼンシュタイン)、エリザベート・フレッヒル(ロザリンデ)らオーストリアの歌手陣にまじって、アルフレード役のヴァレリー・ゼルキンのようにロシア出身者の顔も見えます。

ハードスケジュールの中、歌って踊って芝居して・・・という歌手陣の体力とプロ魂に敬服。ウィンナーオペレッタのエンターテインメント精神は、日本人サービスも忘れません。刑務所は、「渋谷ケイムショ」。ワインならぬ「ショーチュー!」で酔っぱらう刑務所長フランクだったり。

テンポが少し速すぎるのでは?
とか
ホールの音響のせいか、歌手の声がオーケストラに埋もれることがある、とか
鳴らされる鐘の音程が低すぎる?
とか
歌手陣、少し疲れている?
とか
オペレッタ通の方たちは、こまかな点に批評精神が働いて、楽しめない方もいらっしゃったかもしれませんが、
落語もオペレッタも、笑って楽しむもの。

哲学を語るわけでもなく、どろどろとした感情の深奥を描くわけでもなく、牢屋に入るのに、こんなにワイワイガヤガヤなんてあり得ない!
という筋書きにはあきれるのですが、
「人生って楽しい」
というオペレッタ黄金時代の香りあふれるゴージャスな舞台。
こまかなことは忘れて歌声に酔いしれ、この世の憂さを忘れに来たお客さんたちは、楽しいひとときだったのではないかと思います。

熱狂的な感動、というまでにはいかないかもしれませんが、お決まりの有名アリアにも大拍手!

ウィーンに縁の深いプロアルテムジケの主催。
不況でチケットの売れ行きが心配されたそうですが、結果は、満員の盛況。大きな山場を無事通過ですね。

これからまだまだ全国ツアーが続きます。

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