Boesendorfer "Emperor"
Boesendorfer Emperor
  Johann Strauss 
Louis Dulcken
Graf(1839) 
Pleyel (1843) 
Erard (1868) 工事中

Boesendorfer "Emperor"

2003年、ベーゼンドルファー社によって制作されたレプリカです。

モデルとなったピアノは、オーストリア・ハンガリー帝国が日本の天皇に贈呈した楽器です。
1869年(明治2年)9月、オーストリア・ハンガリー帝国の使節団を乗せた2隻の軍艦が、横浜に入港し、日本とオーストリアは、修好通商航海条約を締結しました。
使節団は、明治天皇に拝謁し、多くの品々を天皇に献上しましたが、その中にこのピアノが含まれていたのです。ベーゼンドルファー社に残された記録によれば、、18688年10月2日付けの製造番号とともに、「東洋使節団用」と記されていたそうです。
明治天皇は、このピアノによる演奏を希望され、使節団の若い団員によって、ヨハン・シュトラウスのワルツやポルカ、メンデルスゾーンの曲が演奏されたというエピソードが残されています。宮中の広間にウィーンの音が響きわたり、明治天皇は屏風の向こうで耳を傾けられたそうです。

今回日本で公開されたレプリカは、2003年にベーゼンドルファー社によって制作されたものです。現在このピアノは、アメリカ、ラスベガスのベーゼンドルファー特約店 「ALL ABOUT PIANOS社」 が所有していますが、ヤマハ株式会社 国内営業本部 ベーゼンドルファー・ジャパン グループによって公開が実現しました。
この企画が東京新聞によって報じられることになり、私は、取材に招かれ、このピアノを弾かせていただくことになりました。カメラマンの方もアングルにいろいろ迷うほどヴィジュアル的に豪華なピアノです。おそろいの椅子もまたゴージャスで、ウィーンのお洒落度100パーセントです。
音色は、エンペラーだから重厚な感じがするのか、と思っていたのですが、実際に弾いてみると意外に軽く浅めで、音色は華やかな感じでした。

東京新聞 09.7.8 記事」(pdfファイル)

鍵盤は97鍵あり、いろいろな箇所に金箔が貼られています。また、鍵盤の両端の腕木にはバロックアートによって生まれた空想上の生き物に、、プット(putto)と呼ばれる小人がまたがっている大きな飾りが取り付けられています。
いずれにせよ、世界に2台という復刻モデルの歴史に思いを馳せながら弾かせていただきました。

上 へ