久元 祐子 「味」 探訪

秋田

  
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名産品

 あやめだんご(田舎料理)

今年の秋田ツアーもまたまた体重増。ヴァイオリンの先輩曰く、「リハーサルで1キロ、本番で2キロやせるけど、そのあと打ち上げで3キロ太るから、ずーっと同じ体重を維持しちゃうんだな、これが。。。」と嘆いておられましたが、増えてしまう私は、いったいどうしたことでしょう。
主催の調律師協会の方、共催のモォツァルト広場の方と一緒に打ち上げで連れていっていただいたのが、このお店。
桜の季節には少し早かったのですが、春がそろそろ訪れようか、という時期でした。美しい千秋公園の中にありますが、地元の人も「え〜何も見えないぞ。真っ暗だ。本当にこっちでいいのかなあ、、、、。」と道に迷いそうになるほど暗い夜道をひたすら上がっていったところにありました。
おそるおそる戸をあけると、なんとそこには秋田の郷土料理がずら〜〜っと並んでいます。日本昔話に出てきそうな古いつくりのお部屋、そして秋田に古くから伝わる味。伝統の素晴らしさを感じた一夜でした。
あやめさんの下ごしらえは、朝3時から始まるのだそうで睡眠はほとんど2,3時間だそう。よく食べよく眠り、いいコンディションで演奏会に臨もうなんて心がけのピアノ弾きは、うつむくしかありません。
「ちょっとかわいそうだけど生きたまま揚げるのよ。だからおいしいのよ」という川海老は、やわらかく、甘く、ビールに最高です。
写真上の煮物は、ふきとわらびとジダケ(学名ナマガリダケ、ちびっこタケノコです)の煮物。飽きのこない薄味、それぞれの持ち味のハーモニー。深くてあたたかい秋田の味に、みんなのお箸がいっせいに伸びます。なくなる前にワンショットと思いましたが、誰かのお箸は写ってしまいました。
下の写真は、ホンナと呼ばれる山菜。秋田で人気の山菜です。歯切れが良く、独特の香りがあり、日本酒がどんどんすすんでしまいます。
このほか、ふきのとうの美味しいところだけを取り出して味噌にあえたもの、なすのお漬け物、、、などなど地元にこだわり、地元の味を伝え続けるあやめさんです。
帰りに千秋公園を散歩しましたが、春は名のみの肌寒さ。遠くでトランペットの練習をしている青年。ふと見上げると若山牧水の碑が。
「鶸めじろ山雀つばめなきしきり さくらはいまだひらかざるなり」とタイムリーな句。秋田にゆかりの牧水もお酒を愛しておられたそうです。

あやめだんご  
秋田市千秋公園1−11  
018ー836−5887


 宇舵羅 (郷土料理)

秋田ツアーでは、なんと体重3キロ増。
美味しいもの勢揃いのパラダイスです。

いろりを囲んでのお酒なんて、さすが、秋田。
冬は火を入れて、きりたんぽなどが楽しめるそうですが、夏は、板を渡してそこにお料理が次々に登場です。
緑あざやかな枝豆、旬のかつお、あじの南蛮漬けなど。
郷土料理のひとつ、鰺に納豆をあえた「なめろ」はボリューム満点。
秋田特産のジュンサイは、氷を浮かべた器に出汁を張り、ミル貝の刺身と一緒に盛り合わせ、目にも涼やか。
最後は、手打ちの蕎麦でしめ。あっさりしているのに歯ごたえがあるお蕎麦は、すべてご主人の手打ちによるもの。
地元の常連さんは、お酒の場所も知っていて、勝手に自分で選んで運んでくるという具合。
とってもアットホームなあったかい雰囲気の味なお店でした。
宇舵羅  
秋田市山王1丁目5−8 
018-824-0333  八

 ガドガド(エスニック料理)


秋田の中心街にあるエスニックのお店です。
一歩足を踏み入れた瞬間、非日常の夢の空間ができあがっていました。小説か映画かのワンシーンのような、まるで自分が南のどこかの国の貴族にでもなったような気分にさせてくれる設定です。一緒に行ったメンバーも心なしかいつもと違う顔になっているのが不思議です。
ホノルルに半年留学していた頃覚えた味がベトナム料理でした。フランス領だったこともあり、アジアンテイストにフランス料理の繊細さとセンスが加わり、実にいい感じなのです。思わずはまって毎日のように通ってしまいました。
生春巻きのライスペーパー、嫌いな人は嫌いで「うまいもんじゃない、なんだかだまされてるみたいじゃん。」とおっしゃるのですが、私は、この食感が嫌いじゃありません。ただ、自分で作ってみるとけっこううまくいかないもので、戻すとき水に長くつけすぎるとビヨビヨになってしまって破けるし、といって時間がたりないとゴムみたいに愛想がない状態になってしまいます。何事も良い加減をつかまえるというのは、至難の業ですね。
ガドガドは、型にはまらず、さまざまな国の料理を出してくれました。ゆで豚、焼きそば、アジア風漬け物、、、、。どれも普段食べる味とはちょっと違う面白さ。
ピリッとしたタイ・ソースのあとは、タピオカの甘い味が嬉しいですし、ムーディーな照明と美人ママのほほえみは、非日常空間にぴったりです。
秋田の真ん中に南国空間。不思議な時間でした。そのお店のグッズ、お箸、お香、石鹸などは、ガドガド訪問記念として、愛用中です。アジアンテイストとエスニックな香りは、一瞬にしてその記憶を思い出させてくれます。(2002.6.7記)
ガド ガド   
秋田市大町2−2−11ファッションアベニューAD B1F  
018−864−8664

 呉屋(焼肉)


今年の夏、秋田モォツアルト広場のみなさんに声をかけていただき、モーツァルトの五重奏などを演奏させていただいてきました。
代表幹事の加藤さんが、ひとこと。「今晩は、みんなで焼き肉!元気をつけてモーツァルト!ね」そのとき正直、モーツァルトと焼き肉という組み合わせには、「ん?」と納得いかないものもあったのですが、「とにかく特別にうまい店だから。」というお誘い、わくわくして出かけました。
知る人しか知らない、という場所にある隠れ家的なこのお店。知る人が知らない人に教え続けているのか、超満員。やはりおいしいものには、みんなが集まる、ということでしょうか。
タン、ミノ、レバー、、、、特にコースの途中で出てくるヒレステーキは、仰天のおいしさ。
もう食べられなーい。と思っても次にまたお皿が来るとついついお箸がのびてしまいます。
でもその場のメンバーもすごい食欲で見事、平らげていきます。最後の締めは、みんなバラバラに違うもの。明日の演奏は大丈夫か?!?!石焼きビビンバを頼んだ私の前には、じゅーじゅー音をたてた黒い石皿が登場。私の好物、お焦げのところも、なんとも言えない風味で、大満足。
「こんなにメンバーがみんなで焼き肉いっちゃったら、あしたのステージ、すごい匂いになりませんか?」と心配顔の私に、涼しい顔で「大丈夫、客席の後ろからこっちも充満させるから、わかんないって。」
「いっとき、「いい仕事してる!」という言葉がはやったことがあるけど、このお店は、まさにそれだね。吟味、研究、勉強、そしてたゆまぬ努力。毎日毎日の積み重ねが味と個性を作っていくんだな。」
最後は、代表の締めのお言葉でしたが、みんなおなかがいっぱい過ぎてよく耳に入ったかどうか?!?!

焼肉 「呉屋」  
秋田市外旭川八柳3−11−5  
018−868−4129  火曜日定休日

 一力ファーム


ステーキというとビーフが一般的ですが、秋田の名店、 一力ファーム のアイディア商品、京風ステーキは、ポークです。

秋田のお肉に京都の石野味噌がドッキング。
野趣味あふれ、しかも上品な味わいは、絶対おすすめのおいしさです。
網焼きでもフライパンで焼いてもよし。
網焼きにしてみましたが、香ばしく、ちょっとこげめのついた白味噌の風味がやわらかなお肉にマッチし、複雑で独特の味わいです。

ジューシーでこくがあるのですが、あっさりしているので、胃にもたれません。
冷蔵庫保存1ヶ月オーケーというのも旅の多い私には嬉しいですが、3日以上残っていることはないでしょう。
「さめてもおいしい」とのことですが、熱いうちにあっという間に胃袋に入ってしまったので、冷めた味の方は、未確認です。
一力ファーム
秋田市山王中園町3−8 T
0188(63)7533

 イヤタカ(きりたんぽ)


冬になると恋しくなる秋田の味、それが、きりたんぽです。
左の写真、向こう正面に見えるのが、しっとりした味わいのきりたんぽ様です。ちくわのように見えますが、ちくわより一回り大きいサイズです。
私の近くのスーパーには、この時期「みんなで食べるあったかお鍋。二人で食べる幸せお鍋。一人で食べるおつなお鍋。」というアナウンスが流れますが、手軽で栄養がとれてしかもあたたまる。。。冬はやっぱりお鍋です。

このイヤタカさんの秋田名物「きりたんぽ」、黄色い箱になまはげのデザイン「ほんとにうめがらたべてみれヘ」のせりふつきです。

面倒くさがりの人でもすぐにあったかきりたんぽができあがるよう、親切にぜーんぶそろっているセットです。
主役のきりたんぽのほか、、まいたけ、ねぎ、せり、ごぼう、比内地鶏、レバー、糸こんにゃく、特製きりたんぽのたれ、それに自然水(駒草のしずく)(!!!)・・・そうです。だしに入れる水までついてくるのです。
東京の水道水で薄めたりしたらいかんぞ、というだけあって、このたれのおいしさは、まさに秋田の味です。深くてあたたかくて、しかも複雑な味。
地鶏は、歯ごたえがあってしかもジューシー。いい味が出ます。野菜もそれぞれがそれぞれの持ち味を生かし合う、まさにアンサンブルきりたんぽの演奏会という感じ。
ぐつぐつぐつぐつ。と我が家のガスコンロでも煮えてきました。さあ、失礼して。いただきま〜〜〜す。

(2003.1.4記)
イヤタカ  秋田市中通6−1−13  
018−835−1188

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